10月の3連休に谷川連峰主脈を日帰りで縦走してきました。今回も電車とバスを利用しての公共交通利用。
谷川岳から平標山にかけての10kmを超える稜線が続く谷川主脈縦走路。どちらをスタートにしてもほとんど時間は変わらないですが、今回は土合山の家に前泊したので、土合駅~谷川岳~万太郎山~仙ノ倉山~平標山の順で歩いてきました。
終始展望の良い稜線が続き、紅葉も山の中腹あたりが見ごろで景色としては申し分ないルート。…でしたが、何度も繰り返されるアップダウンには本当に心が折れそうになった。。。日帰りのコースとしてはそこそこの難易度にはなると思います。
体力的にはきつい登山となりましたが、一度は歩いてみたかったコース。無事に歩き通せてホッとしつつ、今回も天気に恵まれて素晴らしい景色に出会えたので、充実感に満たされた旅でした。
秋の谷川主脈縦走への挑戦―――
谷川岳から平標山にかけてひたすら展望の良い稜線が続く谷川主脈縦走コース。谷川馬蹄形と合わせて、谷川岳を巡る日帰り登山としては健脚向け縦走ルート。
大変なのは十分知ってはいたけど、谷川主脈の稜線は冬の時期も含めて何度も眺めていたので、一度は歩いてみたかったコース。
もともと10月の3連休は去年計画していて行けなかった東北の朝日連峰へ行く予定だったのですが、悪天候で今年も断念。3連休の最終日に何とか晴れてくれそうな谷川エリアが決まり、主脈縦走に挑戦することになりました。
12時間を超える縦走登山となった今回の旅。今年の秋の紅葉登山の中では一番ハードな1日となりました。
~~ 2015年10月12日 谷川主脈縦走登山 ~~
今回も電車・バスを利用しての公共交通の山旅。
日帰りといっても主脈縦走は朝発では到底間に合わないので、前日のうちに谷川岳の麓まで移動します。
3連休の2日目の午後、都内から鈍行を乗り継いで群馬県の土合駅へ。10月の3連休は最初の2日間がお天気残念でしたね。。。予定していた朝日連峰も来年へまた持ち越しとなりました。
18時ごろに土合駅に到着。
この駅は知っている人も多いかもしれないけど、「日本一のモグラ駅」と言われている地下深くにホームがある駅。
こちらが地上まで通じる階段。終わりが見えないっ!!!平衡感覚が狂ってトリックアートのような不思議な感覚に陥る。
階段は全部で462段、高低差にして約80mほど。普通に歩いたら10分くらいかかります。
途中にはまさかのベンチまで用意されている。見た限りエレベーターもなさそうだったので、この駅に降り立ったら誰もがこの階段を登らないといけない。
もし仮に通勤でこの駅を使うことになったら、毎朝良い運動にはなりそう(笑)。以前通勤で使っていた大江戸線もなかなかの深さだけど、ここには及ばないだろう。
462段を登り切ったところから下を振り返って見る。やはりホームが見えない……。よくこんな駅を造ったもんですね。
ちなみにこのモグラ駅は下りホームだけで、上り列車は普通に地上に停まります。
階段を登って改札へ。正面にある衝立は、列車がホームを通過するときの突風緩衝用みたい。
土合駅だけでもなかなか面白かった。
今夜は土合山の家で前泊。土合駅の裏手にある宿で、谷川岳登山には重宝する有難い存在。
山の家と名がついているけど、普通の民宿です。3人で泊まるには十分すぎるほどの広さの和室。素泊まりなら1泊3500円とリーズナブル。ここの夕食はカニ鍋が出るらしいので、次泊まりに来るときは食事つきにしようかな。
そんなわけで、谷川主脈縦走は土合山の家からスタート。
迎えた翌朝……
早朝(深夜?)3時すぎに起きて、4時前に宿を出発。当然ながら真っ暗ですが、主脈縦走は標準タイムで行くと14時間以上かかるのでこれくらいの出発は当たり前。
逆の平標山側からスタートする場合もほぼ同じ時間かかります。
この時間はまだ谷川ロープウェイは動いていないので、こちらの休憩舎で登山届を提出。土合駅にもいたけどここでも寝袋敷いてビバークしている方がおりました。
下山予定時刻は16時。10月になると17時を過ぎると暗くなるので、多少は巻いて行きたい。
暗闇の中、西黒尾根登山口に到着。ここから登山道に入ります。
4時20分に登山開始。
西黒尾根と言えば”日本三大急登”の1つ。過去谷川岳には4回登っていながら、全部ロープウェイ利用だったので、西黒尾根に登るのは今回が初めてなのです(^^;
前を歩くのはあつしとたくみ。公共交通利用を駆使して山に登るタイプの飯豊山メンバーです。予定していた朝日連峰も、もちろん公共交通で行くつもりだった。
陽が昇るまでまだ時間があるので、序盤は真っ暗な中を黙々と進みます。見上げると星空が綺麗でした。
5時を過ぎて空が白み始める。毎度のことながらこの明け方と夕暮れ時は、分単位で空の色が変わっていくから、思わず見入ってしまう。
明るくなって初めて周りが紅葉しているのを知った。10月の中旬になると谷川岳も山頂の紅葉は終わって、中腹へと下りていく頃。ちょうど西黒尾根中盤が綺麗に色づいていました。
1時間ちょっと登れば、樹林帯を抜けて展望の良い道に出ます。岩場も徐々に多くなってくる。
ご来光より先に見えたのが、谷川岳のモルゲンロート。
西黒尾根を登っていると、ちょうど背後からご来光となるので、こんな感じで正面に真っ赤に染まる谷川岳を見ることができます。
上から見下ろす一ノ倉沢の紅葉がまた見事でした。
前回の那須岳と並んで、谷川岳もまた関東では人気の紅葉名所の1つ。週末はロープウェイが長蛇の列となるそうですのでお気を付けください。
6時ちょうどにご来光。雲1つない綺麗な空でした。
朝日の光を浴びる山々。これから待つ過酷な縦走路を前に、穏やかなひと時。
谷川岳山全体が紅く染まる。燃えるような紅葉がここにもあった。
左奥に見える建物が天神平ロープウェイ駅。紅葉シーズンは劇的に混雑するそうなので、あのロープウェイが動き始める前には山頂に着いておきたい。
中盤になっていよいよ鎖場も出てきました。
ただ、岩も足場がしっかりしているのでそれほど鎖の必要性もなし。適度に楽しめる岩場。
早朝の静かな岩の稜線を行く。時間もまだ早いので、登っている人もほとんどいなかった。
6時20分、ラクダの背に到着。周囲が開けた展望台になっています。
一ノ倉沢の岩壁。北アルプスにも引けを取らない荒々しい岩峰を間近で感じられます。
谷川岳は日本でも群を抜いて遭難が多いことから「魔の山」なんて呼ばれていたりもするけど、その大部分はあの一ノ倉沢の岩壁ルートによるもの。普通に天神尾根や西黒尾根を登っていれば、遭難や滑落なんてまず起きないと思う。
西黒尾根は日本三大急登の1つということで、どんなもんかと期待してたけど、普通の尾根道でした。特別急坂が続くということもなく、距離もそんなに長くない。後半は岩場・鎖場も出てくるけど、足場や目印はっきりしているのでなんてことはないです。
体力的にもそこまでは求められず、同じく日本三大急登のブナ立て尾根(北アルプス)に比べたら格段に楽でした。
岩場下手くそを自認する僕でも楽しめるレベルなので、ふだん山登りをしている人ならおそらく誰でも登れるんじゃなかろうか。
登るにつれて背後に見えてくるのが白毛門・朝日岳方面の谷川馬蹄形縦走路。 今回も馬蹄形にするか主脈にするか少し悩んだけど、標準タイムだと馬蹄形の方がプラス2時間ほどかかるので、まずは主脈に挑戦となりました。
個人的にも馬蹄形より主脈の方が惹かれていたしね。
時刻は6時半を回ったところ。ずっと谷川岳山頂は見えてるけど、なかなか近づかないもどかしさがありました。
西黒尾根を登り切って天神尾根ルートと合流。写真に写っている標識は印象的な形をしているのでよく覚えている。
ここで今回のメインとなる主脈縦走路が見えた。目の前の稜線をずっと真っ直ぐ突き進んで行きます。
その前にとりあえず谷川岳山頂へ。特に寄らなくても良かったけど、誰もいない谷川岳山頂は貴重だったのでピーク踏んでおきました。
7時半に谷川岳山頂のトマノ耳に到着。谷川岳はこれで5回目の登頂。夏2回、冬2回、そして今回初めて秋の紅葉時期に来訪。西黒尾根を使ってきたのも初めて。
トマノ耳山頂から眺めるオキノ耳。同アングルから撮った秋と冬の写真。冬は天候良ければ巨大な雪庇を見ることもできます。
今回はオキノ耳には寄らずに、谷川主脈へ。まずは手前の肩の小屋で態勢を整える。
谷川岳山頂直下の肩の小屋。 谷川主脈の注意点としては、途中にまともな水場が1つもないので、水は十分に持って行ったほうがいいです。この時期は涼しいので比較的歩きやすいけど、夏場は標高2000mに満たない稜線なのでかなり蒸し暑い。日差しも遮る場所がないので、熱中症には要注意。
肩の小屋にも水場はないけど、ジュースは売ってます。
ここで朝食休憩。主脈を眺めていると、初めて冬の谷川に登ったシーンが蘇る。
まだそんなに雪山にも登ったことがなかった頃なので、この雪景色を目の当たりにしたときには本当に感動した。雪山ってこんなに美しいんだと深く魅了されて、この年の冬から徐々に雪山にも登るようになっていった。
そんな思い出もある谷川連峰主脈へ、いざ突入!
万太郎山まで6.5km。その間に細かいピークがいくつもあって、アップダウンが何度も続きます。
紅葉する谷川連峰主脈。金色に染まる稜線は、冬とはまた違う美しさあり。
出だしはゆったり。快適な稜線ハイクを存分に楽しめる道です。
稜線フリークとしては、すでに唸る展開。
紅葉は山の中腹あたりがピークを迎えていて、稜線から見下ろす風景がまた抜群でした。
この山の紅葉も見事な色づき見せてくれます。
最初の名もなきピーク。尖がっていてカッコいいシルエットでした。
上州武尊山の剣ヶ峰を彷彿させる姿。
主脈の稜線はたまにこんな岩場も出てきます。まだこの時は楽しめる余裕がある。
岩場を越えて少し行った先が最初のピーク、オジカ沢ノ頭。
この先も「~ノ頭」がたくさん出てくるけど、これが徐々に厄介な存在になってくる……。
見事な湾曲を見せる川棚ノ頭への稜線。最初こちらを歩いて行くのかと思ったけど、この稜線はどうやら一般ルートが開拓されていないようです。歩けたらこちらも気持ちよさそう。
行くのはこっち。まだまだ続く主脈の稜線。上から眺める分にはそこまでアップダウンもなさそうだけど、実際に歩いてみるとそうでもない…
ここから先は谷川岳からも離れていくので、早くも見納め。
サヨナラ谷川岳~(・ω・)ノシ
オジカ沢ノ頭のすぐ近くにあった避難小屋。主脈上にはいくつか避難小屋があるけど、こんなカプセルタイプになっています。中を覗いたけど、そんなに広くはないし、中もカプセル状にカーブしているので居心地はそんなに良くなさそう。
泊まるのには適さず、あくまで緊急避難用の建物。
1つピークを踏むごとに、急な下りが待っている。稜線を歩くときには当たり前のことだけど、ここ主脈に関してはこの登り返しがとにかく多いので、後からじわじわ効いてきます。。
こんな平坦なところは、もう天国!人も全然いないし、風もほとんどない。
10月にしては暖かい日だったので、半袖でのんびり歩けました。
最高の稜線ハイク。
わがまま言わせてもらうなら、こんな道が永遠と続いてほしいところ。
2つ目の頭、小障子ノ頭に到着。
写真では良く映っていないけど、左手前方のはるか奥に浅間山が見えてました。
また登り返し。そろそろ谷川岳はロープウェイが動き出して賑わってくる頃だけど、こちらは本当に静か。
見た目としては同じような稜線風景が続くけど、ずっと開放的な道なので体力が備わっていればかなり楽しんで歩ける道だと思います。自分は、ここ最近長時間トレッキングをしていなかったせいか、早くもここら辺からバテ始める……
鞍部にあった大障子避難小屋。先ほどのカプセル小屋よりは広くて泊まるならこちらの方が良さそう。
主脈に限らず谷川全域はテント泊が禁止になっているので、主脈や馬蹄形を歩くなら一気に日帰りで行くか、避難小屋をあてにして歩くしかない。主脈縦走に関しては、他の方の記録を見てもほとんど日帰りでやってのけているので、ここら辺の避難小屋が使われることはほとんどないのかもしれないですね。
途中、ヘリが巡回してた。遭難でもあったんだろうか。
天気はこれ以上ないくらいの登山日和だけど、午後から崩れてくる予報なので、自分たちもあまり悠長にはしていられない。
写真で見るとなんてことなさそうな坂道だけど、これが徐々に堪えてくるんです。。。
主脈は初夏の花の時期に挑戦することも考えていたけど、秋にして本当に正解でした。直射日光を遮る術がないので、夏は暑さとの戦いになること間違いなし。
登り坂のあとにこんな平坦な道を用意してくれてるから憎めない主脈稜線。アメとムチをうまく使い分けてくるぜ……
稜線の中盤に入ってくると、山深さがどんどん深まっていく。
下を流れる赤谷川。基本的に主脈の南側は登山道がないので、手つかずの自然が残っている。
エスケープルートも万太郎山から北側へ降りるルートしかない。途中怪我でもしたら、さっきのヘリにお世話になるしかないです。
9時50分、大障子ノ頭を通過。
ようやく目の前に見えた万太郎山。
でもその前に登り返し…
頭を越えた後の急な下り坂。何とも勿体ないくらい標高を落とします。
谷川主脈は標高1600m~2000mあたりを行ったり来たり。
下り坂を終わっての、ホッとする平坦な道。だいたいパターン化してきた。
そのあとに待つ急坂を登り切れば、万太郎山山頂。
10時20分、万太郎山に到着。土合山の家を出発してすでに7時間ほど経過。
これまで歩いてきた縦走路。谷川岳~仙ノ倉山のほぼ中間地点になります。
次に目指す仙ノ倉山も見えた。
見ての通り、この先はこれまで以上にきついアップダウンが待っている…。左手前の落ちくぼんだところが、この稜線では一番標高が低くなる毛渡乗越(1568m)。そこから谷川連峰の中で最高峰となる仙ノ倉山を目指すことになる。
時間的には良いペース。体力もまぁ大丈夫だろうってことで先へ進みます。万太郎山から土樽駅へ降りる道が谷川主脈では唯一のエスケープルート。 この先へ進むと、もう最後の平標山まで登って降りるしかない。
頑張ります!
万太郎山を少し過ぎたところに、草紅葉が素晴らしく綺麗な場所がありました。景色だけ見れば何とも長閑な雰囲気。
縦走途中の一コマ
仙ノ倉山は3年前の夏に一度登っているけど、あの時は平標山から穏やかな稜線を伝ってきたので、谷川連峰最高峰と言われてもいまいちピンと来なかった。
万太郎山から見ると、その山の大きさが良く分かります。谷川連峰唯一の2000m超えは伊達じゃない。
でかいっす……
仙ノ倉山に近づくと、麓の紅葉が一層真っ赤に染まってました。今回はあまり写真は載せないけど、平標山~仙ノ倉山の紅葉も素晴らしく綺麗だったので、谷川岳と合わせて紅葉の山としておすすめです。特に平標山はものすごいポテンシャルを秘めてそうでした。
また転がっていた避難小屋カプセル、越路避難小屋。 地図には定員7人って書いてあるけど、7人は無理な気がする広さでした。
予報通り昼になると雲が出始めた。何とか仙ノ倉山まで天気を間に合わせたいけど、ここら辺まで来るともう全然ペースが上がらない。。。
バテバテで下を向いて歩いていたら、はるか麓に滝つぼを発見。こちらは何という滝でしょうか?
見た限り登山道もなさそうな、秘境感漂う場所。紅葉も綺麗で不思議と魅了される雰囲気がありました。
新潟方面からどんどん曇ってきた。。最鞍部の毛渡乗越から登り返すこの坂がまたキツイ。。右に見える山も仙ノ倉山ではなく、手前のエビス大黒ノ頭。
ここに来て最後の頭が立ちはだかる。本当にこの頭のオンパレードは厄介。。。
12時15分、何とかエビス大黒ノ頭に到着。何度相手にしたかわからないけど、「~ノ頭」シリーズはこれで完結。
後は仙ノ倉山と平標山だけ。
写真だと全然伝わらないけど、こんな急坂を何回も登ることになるので、結構疲れます。
主脈縦走ってやっぱり大変だわ、、、
それでもようやくここまで来た。仙ノ倉山から平標山までは天国の稜線が待っているので、仙ノ倉山まで登ってしまえばもう終わったようなもん。
……だけど、ラストの登り坂がまた直登で簡単には登らせてくれない。
12時すぎてシャリバテになったので、もう限界。山頂の30分手前のエビス大黒避難小屋でお昼休憩。
今回の主脈縦走ではここで唯一腰を下ろして休みました。先が長いとどうしても気が先走ってゆっくり休む余裕はなかったけど、ここに来てようやく終わりが見えてきた。
20分ほど休んで最後の登り。太陽が隠れてしまったので、気温も一気に低くなりました。
雲も仙ノ倉山の向こうからどんどん湧いてくる…。
そして……
:
:
ついにガスったー!\(^o^)/
無情にも山頂手前でガスに覆われました。。。今回はギリギリアウトだったか…。
そんなわけで、展望ゼロの仙ノ倉山(2026m)に到着。今回の縦走路で唯一標高2000mを超えるピークです。時刻は13時20分。
晴れなかったのは残念だけど、ほっとした気持ちも大きかった。。ここから先は一度歩いたこともあるし、大したアップダウンもないから主脈縦走としてはほぼ終わったようなもんです。
肩の小屋から10000mの道のり。肩の小屋を出発したのが8時ちょうどだから、5時間20分の稜線ハイクでした。
思っていたよりは時間経ってないけど、それ以上に長く感じた谷川主脈。大変でしたよ……
ここから先、平標山までは木道も整備された穏やかな稜線。3年前に初めて訪れたときは本当に感動して、絶対にまた来たいと思っていた場所。
そんな気持ちもあって谷川主脈を歩きたかったってのもある。
あつしとたくみは初めて来る場所だったから晴れの景色を見せてあげたかったんだが、、、これは残念すぎる。。
頑張って主脈を歩いてきたのに、最後の最後でこんなことって……。
誰もいないので、ふてくされて木道に座り込む。「平標~仙ノ倉山の稜線は天国だから、最高だから!」と事前にハードル上げてた手前、二人には申し訳ない(^^;
と思ったら、何か天気が回復してきた!?
これはまさかの奥穂高パターンか??何回目かのミラクルが起きるかもしれない。
晴れるかもしれないという期待が持てて、気持ちも明るくなって先へ進む。
というか、実際に太陽の光が差して登山道が明るくなってきた。
この平標山にかけての道は本当に広くて穏やか。夏は高山植物のお花畑が広がり、秋は草紅葉綺麗な場所です。
晴れそうで晴れない……、そんな悩ましい状況がこの後もしばらく続いたけど、稜線天国というのは変わらない。自然と足取りも軽くなる。
そして祈りが通じたのか、平標山に差し掛かったところで今回も起死回生の展開を引き寄せたっ!
おぉーーーー!!!!
薄らと稜線が見えてきたかと思ったら、瞬く間にガスが取れた。
数秒の出来事。奥穂高岳、那須岳に続いて同じ展開が待ってました。天気が回復する瞬間ってのは、当然ながら本当に嬉しい。
特に今回に限っては午後から天気が崩れる予報だったから、もう駄目だと思ってた。
何とか青空が見えた中での平標山山頂に到着。今回の谷川連峰主脈の終着点。
勝利のファンファーレは鳴らなかったけど、雲の合間からこぼれる日差しが祝福の光に見えた。
山の神様、ありがとうございましたm(__)m
改めて見る仙ノ倉山~平標山の稜線。ここだけはこれまで歩いてきたアップダウン激しい道とはまるで違う、何とも穏やかで平和な稜線です。3年前に初めて目にして、何度も往復したいと思えたほど気に入った場所なんです。
時間も14時を過ぎていたからなのか、稜線上には誰も人がいなくて、最後まで静けさを保ってました。
こうして眺めていると、もしかしたら自分の稜線好きの原点はここだったのかもしれないと思えた。
初めて平標山の山頂に立った時に目にした、これまでには見たことのないだだっ広い稜線。こんな場所が山の上にあるのかっ!!という衝撃は今でも印象に残っている。これほど広くて穏やかな稜線が続くのは、他には飯豊山くらいしか思いつかない。
年々稜線が好きになり、岩場が嫌いになっていくのはどうしたもんかとも思うけど、やっぱり稜線は好きですよ。そのきっかけとなる場所に帰ってこれた感じがしました。
束の間の晴れ間も再びガスに覆われた。思い残すこともないので、平標山から下山します。
だいぶ長くなってしまったのであまり多くは書かないけども、平標山の紅葉がまた素晴らしく綺麗でした。山の上の方もまだ紅葉が残っていたし、中腹から麓にかけて広範囲に色づいているのを見たときは、一時疲れを忘れさせてくれた。
次は紅葉目的に平標山~仙ノ倉山だけをゆっくり登りに来たいと思う。
16時すぎ、平標登山口に下山。ここから先は前回の平標山登山と同じく、登山口バス停からバスに乗って越後湯沢駅へ帰ります。
帰りの温泉は駅から徒歩15分くらいの所にある駒子の湯へ。露天風呂はないけど、500円と安いし、21時まで営業しています。(越後湯沢駅構内のぽんしゅ館に入ろうと思ったら17時半で営業終了してたので、こっちにしました)
駅近くの商店街で営業していた釜飯屋で晩御飯。新潟はやっぱりお米が美味い!
付け合わせの牛スジ大根も美味しかったです。
こうして無事に谷川主脈縦走をやり終えて、越後湯沢駅から電車に乗って東京へと帰りました。
東北朝日連峰の代替案として決行することになった、今回の谷川連峰主脈日帰り縦走。3連休なのに1日しか山登りできなかったのはやや残念だったけども、内容としては日帰り登山とは思えない充実っぷりでした。
初めて歩いた谷川主脈縦走路。序盤の西黒尾根も初めてだったんだけど、その西黒尾根なんてあっという間に終わってしまったという感覚で、とにかく主脈の歩き応えが印象的な旅でした。
最初は余裕ある感じだったけど、アップダウンのたびに力がなくなっていく自分が情けなくもあったな(笑)
全体を通してキツイ登山だったけども、紅葉も綺麗だったし、天気にも恵まれた。奥穂高岳の時と同じく最後山頂手前でガスったけど、そこからの展開も素晴らしいものでした。
何度も言うけど、自分はやっぱりこの平標山~仙ノ倉山にかけての稜線が谷川連峰の中では一番好き。主脈を全て歩いてもその気持ちは変わらなかったです。
谷川主脈縦走はルートとしては14時間オーバーなのでやや健脚者向きかもしれないけど、ひたすら展望の良い道が続くし、群馬から新潟に横一直線に抜ける爽快感もたまらないので、良ければチャレンジしてみてください。
主脈は縦走せずとも、平標山~仙ノ倉山なら6,7時間で回れるのでそちらもオススメ。こちらも電車・バスの公共交通利用だけで登ることができます。
秋の谷川連峰主脈縦走への挑戦(完)
【日程】
2015年10月12日 晴れ時々曇り
【コースタイム】
土合山の家(3:50) — 西黒尾根登山口(4:20) — 谷川岳トマノ耳(7:30) — 大障子避難小屋(9:30) — 万太郎山(10:20) — エビス大黒避難小屋(12:40~13:00) — 仙ノ倉山(13:20) — 平標山(14:20) — 平標山登山口バス停(16:30)