10月初旬に東北・山形の月山へ日帰り登山に行ってきました。
ルートはいつも通り姥沢登山口から月山と姥ヶ岳を周回。秋に訪れたのはこれが初めてでしたが、木道の周りを金色に染める草紅葉と稜線を彩る真っ赤な紅葉が圧巻の光景!凄まじい色づきでした。
夏の高山植物が咲き誇る月山もいいですが、秋の紅葉シーズンも素晴らしい景色を見せてくれます。
毎年恒例、紅葉シーズンの東北遠征登山。
2020年の今年は山形の名峰・月山にしました。過去2回登りに来ていますが、どちらも夏の花のシーズン。秋の紅葉は今回が初めてです。
東北で3回目というと自分の中では割と頻度が高い方ですが、月山はかなり好きな部類で、あの東北らしい雄大な湿原と稜線が大好きなんです。登山行程も全然きつくなくて、日帰りで余裕を持って登れるし。
そんな自分好みの山が紅葉絶好調で山肌一面を華やかに彩るんだから、それはもう凄かったです。
2020年10月2日【東北】月山(姥沢ルート)日帰り登山
直近では3年前の夏に登りに来てる山形の月山。これが通算3回目です。
ルートはいつも通り姥沢登山口からの周回にしました。北側の8合目からのルートも歩いてみたいんですが、あちら側の登山口にアクセスするのがいつも面倒で、毎回こっちになってしまいます。
朝6時半ごろの姥沢駐車場。
ここの駐車場はかなり広く、平日ということもあって到着時はまだかなり余裕がありました。
姥沢からのルートであれば、8時以降はリフトが運行されるのでそれを利用して登る人も多いです。シーズン中は観光客も多いので、特に週末であれば早朝入りしておいた方がいいかもしれません。
すでにお気づきかもしませんが、見事にガスっております……。
この日の天気は山形県は曇り時々晴れ。晴れるかどうか微妙な感じだったけど、紅葉ピークという情報に引き寄せらえて、半ば強行で来てしまった。
晴れることを願って6時50分ごろにスタートしました。
こちらの登山口脇の建物内に係員がいるので、200円の協力金を支払って入山します。
今年は熊の出没に関するニュースを良く見ますね。月山も熊が多く、でかでかと注意の幟が掲げられていました。
8時以降であればリフトを使って登ることもできますが、まだ7時前なので歩いて登る。この時間帯は前後に登山者もいないので、熊鈴ジャラジャラ鳴らしながら進みました。
月山は全体的に木道が多いですが、雨上がりは滑りやすいのでお気を付けください。
最初こそ樹林帯ですが、すぐに展望が開けてきます。
写真は雄宝清水の水場。このすぐ先にももう1ヶ所水場があります。
湿原の木道路に出れば、そこから先が月山の真骨頂。あたり一面に草紅葉が広がって、瞬く間に金色の世界に引き込まれました。
十分な色づきで紅葉のタイミングとしてはバッチリだったんだけども、いかんせんガスっているので、この時のテンションはかなり低め。。。
山肌も赤く染まっているのがこの時点でよくわかりました。
だからこそ、もうホントにガスが邪魔で仕方なかった。ただひたすら雲が抜けてくれることを祈ってた。
草紅葉の中に敷かれた木道路。誰もいない静かな道を進んで行く。
もう間もなく雲の中に突入します。
はい、突入しました。
姥ヶ岳ルートとの分岐点、牛首に到着。稜線に出ると、そこは一面の霧。サイレントヒルさながらの虚無の世界です。
上に登れば雲を抜けられるのでは?!と淡い期待もしてたけど、結局この雲は山頂部まですっぽり覆う無慈悲な奴でした。
それでも時折ガスが切れると、登山道脇の色づきの凄まじさというのはよくわかるもんで、目を覚ますようなオレンジ色の紅葉。
東北と言ったら、やっぱりこの色。
山頂までの直登あたりは色づきも濃くて、あぁ、これが青空の下で見れたらなぁ~、と感嘆とため息が入り混じりながら登ってました。
直登が終わるところ、延命地蔵尊の石碑がありました。
ここって確かお地蔵様がいたよね?撤去されたのかな……?
ガスに包まれた夢見心地の中、山頂部に到着。
見えてきた建物は月山頂上小屋。2020年の今年はコロナの影響で営業休止中のようで封鎖されていました。(トイレは解放されていたので使えます)
山頂の湿原に咲いていたハクサンイチゲ。
10月に入ってまさかハクサンイチゲが見れるとは思っていませんでした。結構残ってるもんで、ちらほらと白い花が残ってましたよ。
山頂にある月山神社に到着。
いつもであれば中に入るのは有料ですが、今回は無料開放されていたので初めて中に入ってみることにしました。
誰もいない静かな月山神社で参拝を済ませる。
どうか晴れてくれますように、という即効性のあるお願いも混ぜておく。
さてさて。
こうして山頂まで来てしまったわけだけど、まだ朝の8時50分。これで帰るのも癪だったので、どうしたもんかと天気予報を確認してみたら、どうやら昼頃から晴れてきそうな予報が出ていた。
一縷の望みをかけて昼までの数時間、暇つぶしをすることに。
山頂は風が強くて立ち止まっていると寒いので、反対側の8合目に続くルートを特に考えもなしにブラブラと下っていきます。
こちらは初めて歩くルートでしたが、山頂からしばらくは緩やかな木道が続いていました。
ただひたすら虚無の世界が続く道。幸い傾斜が緩いので、これなら簡単に引き返してこれる。
誰も写っていないですが、この時間帯になると反対側から登って来る方ともすれ違うようになってきて、中でも印象的だったのがトレランの方。羽黒山に登った後に月山に登りに来たそうで、このまま反対側の湯殿山まで登って折り返してくるんだとか。
出羽三山総なめとは、充実していらっしゃる。
しばしお話させていただいてお別れしましたが、数時間後の下山時にまたすれ違うことになりました。
ソロで登っていると、他のハイカーと話す機会が多くて、こういったのも登山の面白さの1つ。
全然晴れる気配はないですが、こちらの紅葉の色づきも凄まじかったです。
ようやく晴れの兆しが見えてきたのは10時15分頃。月山に登頂してから1時間半も経った頃でした。
行者ヶ原あたりの湿原付近が見えてきたところで山頂の方へ引き返しました。
もうね、電波が入るのをいいことに、20分置きくらいで最新の天気予報をチェックしてたわ。そんな簡単に当日の天気なんて変わるもんでもないのはわかってるんだけどね……。
2時間ぶりに戻ってきた山頂。まだ雲が残っていますが、こちら側に来て良かったことが1つあって、写真右側に見える人が立っているところ。
あそこ、何かあったっけ?と思って立ち寄ってみたけど……
月山の山頂標識発見!
3回目の月山にして初めて知ったこの標識の存在。月山って山頂を示す標識的なものはないと思ってましたが、こんなところにあったんですね。
姥沢側から登ってくると、神社の奥にあたる位置だから少しわかりづらいな。8合目側のコースを散歩した甲斐が意外なところにありました。
山頂に広がる池塘。
時刻は11時になったので、この時間帯になると山頂にも人がたくさん来るようになりました。
月山の山頂は広いので、休憩スペースには困らないです。
そして、ようやく待ちに待った青空がっ!
昼過ぎから晴れるというのは嘘ではなかったようで、ようやく雲が取れてきてくれました。
ガスが切れるたびに歓声が上がる山頂。
日差しも届いてきて、先ほどまでの寒さが嘘のように暖かくなってきました。
こちらは西側の斜面。
西側から雲が沸いていたので、視界はなかなか晴れなかったけど、合間から見える紅葉はとても綺麗でした。
改めて見る、月山の山頂。
左に見えるのが月山神社、右が月山頂上小屋。12時近くになると神社の参拝待ちの列もでき始めてました。
平日でこれだから、やっぱり月山の人気はすごいわ。
山頂に戻ってきても、まだ下山する決心が付かずに散策を続ける。
少し気になっていた肘折温泉のコースへ行ってみます。
そしてこちらのコースが凄かった。
山頂から眺めていた雄大な平原(月見ヶ原)へと下っていく道。麓の肘折温泉まではかなり長丁場の道ですが、女性のソロの方がまさに下山しているところでした。
このコースを選択するとはなかなかの強者ではなかろうか。
この展望を眺めながらさらに1時間近く時間をつぶす。
バーナーでも持ってくるんだった。おしゃれにティータイムを決めたかったです。
持ってきたお菓子を食い尽くしてやることもなくなったので、予報を信じて12時過ぎに下山開始。
山頂を後にし、来た道を戻っていきます。
結局山頂付近で時間つぶしたのは3時間以上。稀に見るダラダラな行程でしたが、待った甲斐があったと心から思えたのがこのシーン。
眼下に広がる月山の稜線。これから歩いて行く道、あそここそ月山でも特に紅葉が綺麗と聞いていたので、一番晴れている時間帯に歩きたいと思っていた箇所。1時間後には晴れていると信じて下っていく。
山頂部もだいぶ晴れてきた。
まだガスったり晴れたりの繰り返しですが、それでもだいぶ青空の割合が増えてきました。
もっと晴とくれ。
来た時には真っ白だった延命地蔵尊の石碑。
やはりあれは夢ではなかったようで、霧が晴れても仏様はおりませんでした。
そして下山時になって、この山の紅葉の神髄を知る。
登ってきた時に虚無の中で見た紅葉の色づき。その全景がはっきりと見て取れる景色、素晴らしい!
山肌を真っ赤に染める紅葉。目が覚めるほどの華やかさです。
この稜線に広がる錦秋の景色、緑もありつつ赤が主役の紅葉って、いかにも東北の山らしい配色です。
北アルプスの紅葉ももちろん凄いけど、東北の紅葉ってやっぱり独特のものがあります。
この時間はまだガスが完全に取れない状況でしたが、登っている時が真っ白だっただけに、これだけ見れただけでもかなり満足でした。
色づきで言うと、山頂直下のこの急斜面あたりが特に凄かったです。
ガスに覆われていた湿原の木道路もはっきりと見えてきました。
稜線の真っ赤な紅葉とは対照的に、木道付近は黄色主体の草紅葉。あとでそこを歩くことになりますが、それはそれは素晴らしい景色が広がっていました。
ちなみに、ここら辺で数時間前に出会ったトレランの方と再びすれ違いました。湯殿山をこの時間で往復してきたとは、すげぇ。。。
下っているのに何度も上を振り返ったり傍目の紅葉を見ては立ち止まったり、全然進まない。
時間に余裕があるっていいですね。ソロの登山でこんなにダラダラ歩いたの、初めてかもしれないです。
同じ道なのに景色が晴れてきたもんだから、すごく新鮮な気持ちで歩ける。
特に月山は秋に訪れたのは今回が初めてなので、もう心ゆくまで堪能する。下山が遅くなってもいいやって割り切った。
月山の稜線。石畳になっていてとても歩きやすい道が続きます。
賽の河原の湿原。先ほどの真っ赤な紅葉とは打って変わって金色の風景。
一口に紅葉と言っても色々な景色が詰まっている月山、やはり東北の山は単体でもスケールが大きいです。
牛首の分岐点。
左に行けば下山路ですが、まだ全然歩き足りないので予定通り右に進路を取って姥ヶ岳方面へ進みます。
俯瞰してみる山肌の色づきが凄まじい。
少し歩くと、再び真っ赤な紅葉ゾーンに入ってきました。
今回で言うと、ここから姥ヶ岳までの稜線区間が一番色づきとしては綺麗に見えたところです。
こちらに来てよかったと思えるのが、この西側の景色。
奥に見える稜線、残念ながら一般の登山ルートはないので歩けない箇所ですが、何ともそそられる稜線でした。
その眼下に広がる紅葉の色づきもお見事。
そして見てほしい、この紅葉の登山道。
東北の紅葉名所である栗駒山や三ッ石山を彷彿させるような、緑ありつつ赤や黄色のパッチワークの色合いが素晴らしいぞ。
紅葉と歩いてきた稜線。
山頂部は依然ガスがかかっているものの、こちら側はすっかり晴れてくれました。
姥ヶ岳へと続く木道路。
ここら辺の道も凄く好き。
左手に見えるのが、高原のような広さを誇る湿原の台地。
明け方、ガスの中を歩いてきたところがあそこです。真っ白な中でもはっきりとわかった草紅葉、こうして上から見ると辺り一面黄金色に染まっておる。
13時半、姥ヶ岳に到着。
標高1670mとそこまで高くはないですが、360度の展望が開けて視界抜群です。
山頂はこんな感じで木道が敷かれています。ベンチもいくつかあり。
月山の山頂とは打って変わって暖かく、風も穏やかな姥ヶ岳。人も少なくて長閑な雰囲気漂ってましたよ。
すぐ近くには池塘広がる湿地帯もあります。
夏場に来ればお花畑。姥ヶ岳も見所多いので、月山登山と合わせてぜひ訪れてほしいところです。
姥ヶ岳周辺の紅葉も凄まじい色づき。
木道路をリフト乗り場方面に下っていく。
あぁ、本当に快適な山歩き。木道もすごく風景に溶け込んでいる感じでいいね。
前を歩く登山者を見て、月山の山の偉大さを知る。
横に広く、何とも穏やかな山だ。それが全山紅葉しているんだから、本当に凄い景色です。
眼下にリフト乗り場の建物が見えてきました。
何気にリフト山頂駅付近も凄まじい色づき。このままリフトで降りることもできますが、せっかく晴れたので登りでガスった湿原まで戻って歩いて帰ることにしました。
ちなみにリフトは片道600円。
牛首下分岐まで戻るルートを行く。
稜線下をトラバースするような道ですが、木道でしっかりと整備されているので難なく歩けます。
何よりここからの眺めが一級品。14時になってようやく山頂の雲も取れて、月山全景が見渡せるようになりました。粘った甲斐があったわ。
遠望だとわかりづらいけど、斜面の紅葉がすげぇ……
リフト乗り場から牛首下分岐までのトラバース路。
平日でも行き交う人は多かった。
真上に見える稜線が先ほどまで歩いていたところ。
憎かった雲も、今は心地よく見える。
ここからの眺めが、この日一番だったと思う。
月山の錦秋風景。ガスの中で山頂に着いた時はどうしようかと思ったけども、こうして何とか無事に晴れてくれたので良かったです。
山頂付近で3時間とか、こんなに天候回復を粘ったのはおそらく初めてだわ。
牛首下分岐まで戻ってきたら、あとは駐車場方面へ下山。
一応、標準タイムでは登山口まで1時間20分になってますが、歩き慣れている人ならだいぶ巻けると思います。
数時間前、ガスの中を不貞腐れながら登っていた木道を下っていく。
あぁ、本当に良かった。
樹林帯に入る前にしっかりと見納めしておく。
スッキリとした快晴とはいかなかったけど、求めていた月山の紅葉風景はしっかりと見れたので満足。
そして、やっぱりこの山は好きなので、しばらくしたらまた来よう。
樹林帯に入ってからはあっという間。
14時半には駐車場に戻ってこれました。
山頂の込み具合から想像はしていたけど、朝の閑散っぷりが嘘なくらいに車が停まっていました。
500台収容できるほどの広い駐車場なので、満車というまでにはなってなかったです。
下山後の温泉は、「道の駅にしかわ」に併設されている水沢温泉に入りました。
露天風呂はなかったですが、館内綺麗で日帰り入浴300円。コスパ良いのでお勧めです。
こんな感じで紅葉の月山登山が終了。
半ば突発的に行くことにした東北遠征。晴れてくれるかどうか、瀬戸際な状態がずっと続きましたが、粘った甲斐あって何とか後半は晴れてくれました。
本当に良かったです。
紅葉シーズンの月山はやはりすごい色づきを見せてくれました。ちょうど見頃を迎えていたのでタイミングとしても良かったと思います。
ちなみに、もう少し時期を遅くすると、赤は少なくなりますが、草紅葉がさらに広がって一面黄金色の風景を見れるようです。それはそれで見てみたい。
夏の花のシーズンと秋の紅葉シーズン、どちらも素晴らしい東北の月山。日本百名山というのもあって平日でもなかなか混んでいましたが、日帰りでも余裕を持って登れるので、かなりお勧めの山です。
【日程】
2020年10月2日
【コースタイム】
6:45 姥沢駐車場
8:10 牛首
8:45 月山(~12:00)
13:35 姥ヶ岳
14:00 牛首下分岐
14:35 姥沢駐車場